株式会社アキュラホームは「日本の住まいを安くする」ミッションを掲げ、高品質な木造注文住宅を適正な価格で提供することで、業績を伸ばしています。一方、同社では、個人のマンパワーに頼りがちだった業務をチーム力によって対応する「働き方改革」に取り組んでいるそう。その実現のために必要なことは「管理職の意識改革」。「カオナビ」の導入によってその土台づくりに挑む、総務人事部 人事課 課長池沢篤人様、泉 洋平様にお話を伺いました。
株式会社アキュラホームについて
匠の技術で高品質かつ低価格な住宅建築を実現
株式会社アキュラホーム(以下、アキュラホーム)は、「匠の心」を大切にし、高品質な木造注文住宅を提供しています。そこには、建設業界に広がる画一的な家づくりと「高品質=高価格」の風潮に対する、創業者・宮沢俊哉社長の強い想いがあるそう。
池沢篤人様(以下、池沢様):「代表の宮沢は、木造住宅の合理化に取り組み、古い業界慣習を打ち破りながら、高品質かつ適正価格の家づくりを探求してきました。そうして培った建築や経営のノウハウを、全国の工務店と共有・連携する『JAHBnet(ジャーブネット)』という工務店ネットワークの運営も行っています。地域ごとの風土に合った住宅建築ができるのは地場の工務店であり、そこにいる匠たちです。全国の工務店とノウハウの共有を通じて手を取り合い、『匠の心』で業界を盛り上げていきたいと考えているのです」
泉 洋平様(以下、泉様):「弊社の住宅建築件数は年間約1500棟。いわゆる『中堅』ですが、全国の工務店と共同仕入れを行うことで資材単価を下げ、ネットワークを活かしたコストダウンを図っています。技術面においても、鉄骨、RC、輸入住宅などさまざまな工法に挑戦した結果、日本の風土にもっとも適するのは木造建築だという考えに至りました。現在は、木造住宅のほか中規模の木造オフィスの建築など、つねに新たな可能性に挑戦しています」
人材の考え方
チームで仕事をする業務の仕組み化で、働き方改革を推進
近年、アキュラホームでは、建設業界特有のハードワークに対する働き方改革にも着手し、2016年から3年連続でホワイト企業アワードを受賞。一連の取り組みのなかでも、一昨年に導入された連続9日間の休暇が取得できる「長期休暇制度」は、積極的な推進活動によって7割超の社員が連休を取得。その目的は、単に福利厚生の充実ではなく、従来の「個人責任」が強すぎた働き方から、チームで業務を推進していくスタイルに変えていくことにあったそう。
泉様:「私は以前、現場監理を担当していましたが、休日もお客様や関係先への対応を自分でせざるを得ず、結局は休めないことも多々ありました。しかし、個人の裁量だけに頼るのではなく、チームで業務を補い合う意識と体制をつくらなければ、多様化するライフスタイルには対応できません。休暇取得や残業時間低減はもちろん、子育て世代の社員などもフォローできる『働き方改革』を進めていく必要があると感じました」
池沢様:「長期休暇制度は、チームで業務に対応するための強制力となりました。3連休程度の取得をミッションとしても、旧態依然とした意識の管理職は『休暇明けに現場社員自身で遅れを取り返せる』と考え、結局は現場社員が苦労してしまいます。しかし、9連休が制度化されるとなれば、いつ誰が連休に入っても対応できるよう、管理職が中心となってフォロー体制を考えなければ対応できません。働き方改革において、私たちは長期休暇制度を軸として、管理職の意識改革とフォローアップに取り組んでいます」
「カオナビ」導入の背景
エクセルによって属人化した評価フローをシステム化したい。業務のチーム化で効率化も目指した
アキュラホームでは、2017年1月に「カオナビ」を導入。目的の一つは、社員情報を一元管理し、働き方改革を実現するための情報基盤とすること。そして、もう一つは、まず総務人事部の業務から効率化を図ることでした。
池沢様:「さまざまな社員情報をエクセルで管理していたため、散在した情報は閲覧しづらく、オペレーションの面でも非効率となっていました。現場の持つ情報と人事が持つ情報を一元管理し、共有できるシステムが必要でした」
泉様:「評価業務では、社員約1000人分を1、2名で担当していました。結果、業務が属人化し、引き継ぎも困難な状況だったのです。評価は、社員の今後の処遇が決まる大切なもの。作業に追われるのではなく、評価情報を精査し、課題や問題の解決に取り組みたいと考えていました」
「カオナビ」導入のポイント
決め手は誰にでも扱いやすいインターフェイスと、カスタマイズしやすい柔軟性
さまざまな人材管理システムのなかで「カオナビ」に決めた理由は、ユーザーインターフェイスと操作性、そして気軽にカスタマイズができる柔軟性にあったそう。
池沢様:「私たちが求めたのは、誰もが必要な人材情報を活用できるシステム。その点で、『カオナビ』は人事部門だけでなく、管理職も使いこなせるイメージが湧き、魅力的でした」
泉様:「契約時に依頼した『導入ディレクション』も効果的でした。評価シートを、『カオナビ』上に再現していただき、実際の使用シーンを想定したレクチャーをしていただき、スムーズに使うことができました。カスタマイズも容易で、問題なく運用ができています」
「カオナビ」の活用方法
SMART REVIEWで評価者の負担も軽減。マネジメントに時間を使う
アキュラホームの人事評価はMBOと行動評価を併用しています。その評価フローは「カオナビ」のSMART REVIEWで管理。社員の入力した自己評価に対し、上長が1次〜3次評価を入力。最後に、評価会議による甘辛調整を行っています。
池沢様:「賞与・給与の査定のためだけの評価ではなく、社員の成長につながる評価を目指しています。そのため管理職は面談を実施し、社員に評価の説明と、伸ばしていくべき点のフィードバックを行っています。管理職の評価作業を緩和し、過去の評価履歴などもスムーズに確認できる体制を整えたことで、社員とチームの成長を実現するマネジメントに時間を使ってほしいと考えています」
泉様:「そして、評価シートは等級と職種によって、30種以上のフォーマットに分類されています。SMART REVIEWのおかげで、それぞれの情報が簡単に入力・閲覧できるようになり、管理職の評価作業が楽になりました。評価会議でも話題に挙がった社員の評価情報をすぐに確認でき、スムーズな進行に役立っています」
その時々の目的に応じて、社員のパーソナリティをPROFILE BOOKで検索
「カオナビ」の人材データベースであるPROFILE BOOKには、社員の基本情報のほか、異動履歴、評価履歴なども登録。SMART REVIEWと同様に評価会議などの場での閲覧に役立っているそう。
泉様:「すべての人材に関わる情報はここで管理するため、現在、情報の充実を進めています。いまは履歴書のPDFを登録しているのですが、今後は、前職の仕事や学歴、資格などの情報も登録して、検索をかけられるようにしたいですね。プロジェクトなどで特定の業務経験を持つ社員のピックアップなどに活用できると考えています」
PICKUP LISTで人材管理をさらに効率的に!
さらに人事会議では、PICKUP LISTで事前に検討対象となる社員を事前にリスト化し、スムーズな進行に役立てているそうです。
泉様:「たとえば、長期休暇制度の未取得者を管理職に共有する際にも活用しています。PICKUP LISTで全社の未取得者をリスト化すれば、閲覧権限を設定して、各管理職に自分の部下だけがピックアップされた状態で共有することができます。以前は手作業で部署ごとにリスト化していたため、とても効率的です。リストアップした社員の分類もでき、どの部署に未取得者が多いのかもすぐに把握できて便利です」
VOICE NOTEで社員の声を集め、対策の検討に役立てる
「カオナビ」のさまざまな機能を使うなかで、VOICE NOTEによる社員と会社のダイレクトコミュニケーションにも可能性を感じているそう。
泉様:「昨年、人事評価での管理職との面談状況を確認するため、VOICE NOTEで社員に面談の感想をアンケートしました。以前はエクセルを使っていましたが、アンケートの配信も回答の閲覧もスムーズになりましたね。今後は長期休暇制度の取得に関することや、福利厚生の利用に関しても活用し、社員の声を集めて、施策に役立てたいと思っています」
今後の活用について
「カオナビ」で社内の人材と管理状況を「見える化」。さらなる「働き方改革」の実現へ
「カオナビ」がアキュラホームにもたらした最大の効果は、社内の人材とマネジメント状況の「見える化」。その上で管理職に適切なレクチャーを行うことで、業務のチーム化による働き方改革を促進したいと考えているそう。
池沢様:「たとえば、長期休暇制度の未取得者が多い部署は、上長が率先垂範で取得していない傾向があります。当然、チームワークで対応する意識にも影響があるでしょう。そういった情報が『カオナビ』によって見えやすくなりました。管理職ごとの意識差を、『カオナビ』を活用して把握・是正し、働きやすい環境づくりを進めていきます。
そして、当社ではより良い住宅の提供のため、社員の成長を促し、個々の挑戦を支援していきたいと考えています。だから、社員たちの考えやキャリアへの志望も、人事としてもっと把握していきたい。たとえ急に異動しても新しい上司がしっかり社員の意思を把握し、成長させていける。『カオナビ』をさらに活用して、そんな環境の実現を進めていきたいですね」
- 創業
- 1978年10月
- 資本金
- 9314万円
- 社員数
- 1230名(2018年4月現在)
- 事業内容
- 木造注文住宅の建設・販売を行う「住宅事業」のほか、全国の工務店・ビルダーへノウハウ提供を行う「工務店支援事業」、また、住宅および関連品やシステムの研究開発を行う「研究開発事業」の3つの事業領域を展開。