介護業界で深刻な問題となっている人手不足を解消するために、株式会社 元気な介護は「現場の声」に耳を傾けることにしました。そこで聞こえてきたのは、きちんと評価を通して働きがいのある職場環境を実現してほしい、との声。現場からの声に応えられるツールを求めて、専務取締役 事業推進部長の幸坂侑哉様は「カオナビ」の導入を決意しました。
株式会社 元気な介護について
「現場の声」を大切にする文化。離職率改善に取り組む
株式会社 元気な介護(以下、元気な介護)は「想い遣り」を社訓に掲げ、介護業界で成長を遂げている企業です。成長の秘訣に「従業員の暮らしにまで気を遣うこと」を挙げるのは専務取締役 事業推進部長の幸坂侑哉様。
幸坂侑哉様(以下、幸坂様): 「弊社には『現場の声』を聞くことを大切にする文化があります。物事の決定もトップダウンではなく、現場の責任者から一般スタッフまで全員を巻き込んで行います。そんな社風も手伝って『良い会社って何か』という話し合いをよくするんです。そのときに必ず出てくるのが、従業員が『働いていてよかった』と思える会社かどうか、ということ。スタッフ間のコミュニケーションが活発で、働いていてワクワクする環境かどうか。だから弊社では離職率をひとつの基準とし、その推移に注意しています。でも、残念ながら介護業界は他の業界と比べて離職率が少し高い業界です。事実、弊社でも3年前までは比較的高い水準でした。そこから従業員の暮らしにまで気を配り、ワークライフバランスを整えたのです。その成果もあって、2016年は20.8%だった離職率が、2017年では、14.2%まで下がっています」
「カオナビ」導入の背景
現場スタッフにとって「働きがい」のある会社を目指して、評価制度をつくる
離職率を改善するために従業員の働く環境を良くしていく中で、評価制度の構築も課題のひとつに挙がったそう。
幸坂様:「実は私が5年前に着任した際には、評価制度がありませんでした。でも、スタッフと話していると『どうしたら自分はきちんと評価されるのか』『(同業他社とは)提供しているサービスが違うのに、どうして待遇は変わらないんだ』という声が上がってきました。そこで評価制度の構築に着手しました」
「評価制度をつくってほしい」という現場からの声。その声に応えることが離職率の改善につながると考えると同時に、この取り組みが「働くこと」をめぐる介護業界ならではの課題に対処することだと感じたそう。
幸坂様:「介護の仕事はお客様からの『感謝』が対価になりがちなんです。サービスを提供すると『ありがとう』と言ってもらえるから、やりがいは得られます。しかし、決してボランティアではありません。働くための仕組みが構築されなければ、仕事として続けてはいけない。だからこそ、従業員の努力や成果をしっかり見て、その分をきちんと評価してあげたいと思ったのです」
現場の声から生まれた評価制度。しかし、400人分をエクセルで運用するには無理があった
従業員をきちんと評価して、従業員の暮らしにまで配慮した働く環境をつくりたい。そんな想いから評価制度をつくった元気な介護は、現在、期初に3つの目標を立ててその達成度を評価基準とするMBO(目標管理)と「誠実さ」や「チームワーク」などの項目を基準とするコンピテンシー評価を職種・役職別に運用しています。しかし、実際に運用してみると思わぬ問題に直面したそう。
幸坂様:「実際に、エクセルで評価制度を運用してみたのですが、一度回した段階でこれは無理だと気づきました。管理部門のリソースを評価運用に大きく取られてしまって、このままでは他の業務に支障をきたしてしまう。それに400人分のエクセルシートを回収して分析する運用担当者のストレスも相当なものになってしまう。この状態は劇的に改善しないといけない、と強く感じました」
「カオナビ」導入の決め手
期待したのは評価運用の効率化と管理部門の負担を減らすこと
評価運用を効率化する手段がないかと思案している中で出会ったのが「カオナビ」。「カオナビ」によって評価運用をシステム化することで、業務の効率化を期待したそう。しかし、決め手はそれだけではなかったのだとか。
幸坂様:「『カオナビ』の説明を受けて、これなら評価運用の現状を改善できると感じました。一方で、評価以外の機能は手に余るかもしれない、と思ったのも確かです。しかし、営業担当者様と話し合いを進める中で、人材情報を『カオナビ』に蓄積していけば離職率の推移や男女比といった数字や評価履歴もパッとわかるようになることに気づきました。これなら管理部門の負担も大きく軽減できる。福利厚生や評価制度を整えて働きがいのある環境をつくっていきたいけれど、それを担当するのは管理部門です。必要なデータを全部手入力していたら管理部門が疲弊してしまいますが、『カオナビ』ならその心配がない。それが導入の大きな決め手となりました」
「カオナビ」導入の効果
評価運用は驚くほど効率化
元気な介護では、「カオナビ」の「導入ディレクション」サービスを利用。専任の導入ディレクターとともに、それまでエクセルで運用していた評価シートを「カオナビ」上に再現しました。そして評価フローを運用し始めてすぐに「カオナビ」の効果が実感できたのだそう。
幸坂様:「実際に『カオナビ』で評価制度を運用してみたところ、スムーズに回って驚いています。以前と比べると評価フローにかける時間の面でも、費やすリソースの面でも負担は大幅に軽減できています。そういう意味でも効果を実感していますよ」
資格と研修履歴を管理して配置に役立てる
また、導入理由のひとつでもある「カオナビ」への人材情報の蓄積も着々と進んでいるようです。
幸坂様:「導入後にVOICE NOTE(カオナビ内のアンケートツール)を使い、それぞれの従業員が保有している資格について、チェックボックス式のアンケートを取りました。そこで集まった資格情報をPROFILE BOOKに入れて管理しています。誰がどの資格を持っているか・持っていないか、そして資格を取るための研修要件をタイムリーに把握することは、介護事業を運営する上では大切なことなんですね。たとえば、各事業所の管理者は必ず事業所管理者研修を受講しなくてはいけません。そのため、資格の有無や研修の受講履歴を管理することは、今後、配置や抜擢を進めていく上で重要な要素になっていくと考えています」
今後について
「カオナビ」を、会社を良くする「気づきのツール」として使っていきたい
現在は主に評価運用と資格管理に使っている「カオナビ」を、今後はもっと活用範囲を広げて使って行きたいとのこと。そして将来的には、現場従業員にとっての「働きがい」を向上させるための『気づきのツール』として使っていきたいのだとか。
幸坂様:「正直に言って、介護業界は必ずしも良いイメージだけで見られているわけではありません。高齢化社会が進んで社会的な関心も高い分、一部の同業他社の不始末によって厳しい目で見られることも多いです。だからこそ弊社は、人事制度をしっかりと整えて、従業員が『働いていたい』と思える環境をつくっていきたい。『カオナビ』は従業員の気持ちや頑張りを『見える化』してくれます。そんな『カオナビ』をいわば『気づきのツール』として使って、『離職率を下げるにはどうすればいいのか』『従業員の笑顔を絶やさないためにはどうすればいいか』について考えを深めていきたいですね」
- 設立
- 2004年
- 資本金
- 1000万円
- 従業員数
- 328名
- 事業内容
- 全国に12の老人ホーム・介護施設を展開する。住宅サービス付き高齢者向け住宅/小規模多機能型ホーム訪問介護ステーション。介護を必要とされるすべての方とそのご家族に、快適な暮らしを提供している。