株式会社グローバルトラストネットワークスは、日本国内で暮らす外国人の「住」の利便性を考え、日本で暮らすことの困難を取り除くサービスを提供してきたベンチャー企業です。従業員の7割を外国籍の社員が占めています。急成長を遂げている今、いかに効率の良い人事評価システムを作り上げるか。そう考えているなかで、カオナビと出会ったとのこと。今回、代表取締役の後藤裕幸様にお話を伺いました。
株式会社グローバルトラストネットワークスについて
外国人の「住」の利便性を考えた事業を展開していく
後藤様:株式会社グローバルトラストネットワークス(以下、GTN)は今期で12期目に入ったばかりの会社になるのですが、現在、スタッフは150名ほどです。ちょっと変わってるのは、外国からの社員の割合が7割ほどになってるところですね。
そういった海外からのスタッフは日本語はもちろん、英語やそれ以外の言語を話せます。
GTNは外国人の「住」の利便性を考えた事業を展開してきました。外国人専門の家賃保証のサービスからスタートし、我々が外国人をお客様として連れていく不動産の賃貸仲介事業を二つ目の事業として開始。それから、仕事を紹介するという人材事業、携帯電話の契約に関する困難を取り除いた通信事業に着手していきました。
つまり、現在は、家賃保証と賃貸の仲介=「住居」を大きな柱としながら、就職やアルバイトの紹介=「人材」と携帯の格安SIMやWi-Fiのサービス提供=「通信」を展開していることになります。また、海外にも拠点を幾つか持ち、悪徳ブローカーがはびこっているマーケットの健全化を図ろうと、ベトナムなどで日本語を教える事業を始めています。
人材についての考え方
国籍を理由に互いを排することを許さない、という人材理念
後藤様:多様な人間を一つの空間に集めると、同じ国籍、同じ民族で集まってしまうんですね。その時に顕在化してしまう問題が「差別」「偏見」です。特に日本人よりも外国人同士の間で、そのような意識が強烈にあるんです。だから弊社では、差別や排他的な意識を無くすために、「社内言語は徹底して日本語で話しなさい」と言っています。母国語で話していると、何を話し合っているのかわからない怖さが同僚の間で生まれてしまいますから。
社員には、「差別とか偏見というのは人間が産み出した最大の負の遺産である、そういったものを徹底的に自分の中から排除しなさい」と、常日頃から意識させています。代わりに共通意識として持ってもらっているのが「私たちはGTN人」だという考えです。国籍をアイデンティティとして誇っても良いけれど、それがゆえに障壁を作ってはいけない。GTNは、そういった壁のない空間を作ろう。人が生まれながらにして持った、決して変えることのできない性質で互いを排することはGTNにいる限り、絶対に許しません。それが我が社の人材に対する考え方です。
「カオナビ」の導入背景
360度評価にMBOもプラス。人事評価のハイブリッド化を目指して
後藤様: 弊社が業務の上で最も重要視しているのが、チームワークです。お互いが切磋琢磨しながら、一人の人間が一つの業務だけに精通するのではなく、いろんな業務を知っていく。例えば、繁忙期の際に、「今日はうちの部署忙しくないから手伝うよ」って言ってくれる。それこそが、まさに組織として理想的な状態です。
それから、弊社のビジネスにおいては言語が大きな問題としてあります。同じ部署で同じ業務をしていても、中国語、英語、韓国語、ベトナム語といろいろな言葉があると、業務の変動が出て来た際に、自ずと言語によって業務が集中的に振り分けられてしまう。そういうときに、どうやって流動性を保つかが課題になるのです。つまり、チームワークを駆使しながら、いかに業務のバランスをとるかに重きを置きながら経営をしていかなければならないわけです。
では、チームワークを軸にした経営の中で社員をどう評価するか。社員一人ひとりのコンピテンシー(業績優秀者に見られる行動特性)を見極めるにはどのような評価システムが良いか。その時に行き着いたのが360度評価でした。ある社員が頑張ってるか、優秀かどうかっていうのは一人ひとりが決めていく。こうした評価システムが現在、弊社の人事評価の基盤にあります。
けれど、今回、もう一つ先に進む必要が出てきました。つまり、これまでの人事評価にMBO(Management By Object)を加えよう、ということになったのです。というのも、チームワークに対する意識が強すぎると、数字に意識が向かなくなってしまうんですね。そこで、個人個人に目標を与え、部署の数字に対しても、責任を持ってもらう。その上で、個人を上長が評価していく。従来の360度評価にプラスMBOという人事評価のハイブリッド化を試みる必要性が生まれたのです。でもそれはアナログでやってても仕方ない。何か汎用性のあるシステムがないだろうかと探し始めたのです。
「カオナビ」を選んだ理由
「カオナビ」は変わり続ける「人事」に柔軟に対応できるシステムだった
後藤様:「カオナビ」が汎用性の高いツールであるということが一番大きな決め手でした。我々がすでにやっていた360度評価をシステムとして移行するときに、問題が起きないかということ。そして、MBOも組み合わせることができるのか、ということを念頭に置いてツール選びを行っていきました。カオナビさんの説明を聞いて、それらが実現できると知ったところで、これが私たちの探していたシステムだと思い至りました。
また、弊社は外国人のスタッフが非常に多く、どうしても名前が覚えづらい。名前を覚えても、他国の名前だと、名前と顔を一致するのが日本人同士以上に難しい。「カオナビ」だとそこをクリアできるというのも決め手のひとつでした。
人事というのは常に変化し続けるものです。その時にベストだというものが5年後ベストじゃなかったりする。だから、絶えず変わり続けなければならない。そこで必要になってくるのが変化にも対応できる柔軟性のあるシステムです。私たちにはそれが「カオナビ」だった、というわけです。
評価運用で「カオナビ」に期待すること
従来の360度評価を刷新し、効率化を目指す
後藤様: これまで全社員統一の項目でやってきた360度評価を、これからは役職などに合わせて、多様な項目で行っていきたいと考えています。360度評価を全従業員が統一でやるというのは、相撲でいうと、十両も幕内も横綱も同じ土俵で戦ってるようなものなので、少しバランスが悪い。そのため、役職によって評価割合を変えていくということをやっていこうと思っています。
その時に、コンピテンシーをみんながどう考えているかが「カオナビ」を使うことで、スムーズに顕在化できれば良いと思っています。その上で、一人一人と面談して、個人に合わせた目標、正しい難易度で設定する。そういったものが細かく調整できるようになって、それぞれの社員と向き合えるようになれればいい、と考えています。
「カオナビ」で人材情報を「見える化」するメリット
特殊な言語能力を持った社員を見つけ出すことで適材適所が進む
後藤様: 先ほども言いましたが弊社は海外にも拠点を持ちます。その際に、相手がどんな顔でどんな人間なのかがわからないと、不安が生まれる。「カオナビ」で「見える化」が可能になればそれが解消され、国内から安心して業務の指示を出すことができます。
加えて、弊社のように多国籍の社員が集まっていると、言語に関して特殊スキルを持っている社員が多くいるわけです。ただ、現状だと社員のスキルを具体的に把握するのが難しい。「カオナビ」によってそれが簡単に抽出できることになると、業務における適材を見つけるのがイージーになるという利点もあります。
今後の事業展開と「カオナビ」が役立てること
グローバル化した社会のなかで「カオナビ」も…?
後藤様:GTNは、これまでの住居・仕事・通信に関する外国人向けのサービスに加え、金融の分野に着手しようと考えています。外国人はクレジットカードを作るのが難しいんです。預金口座すら開設するのに大きな困難を伴う。そうやって金融の世界でも外国人はかなり排他的に扱われているので、その部分を助けるようなサービスを今後展開していこうと考えています。
そして、日本人がどんどん世界に出ていけるような仕組みを作っていきたいと思います。そのなかで、カオナビさんもグローバル化対応していただけることを期待しています。きっと、そこにカオナビさんのさらなる可能性があるのだろう、と勝手ながら思っております。
- 設立
- 2006年
- 資本金
- 446,500,000円
- 従業員数
- 144名
- 事業内容
- 株式会社グローバルトラストネットワークスは、外国人向けの家賃保証サービス、不動産賃貸仲介サービス、また在日外国人の人材紹介事業、格安SIMやWi-Fiの提供を始めとした通信事業を展開しています。