課題
- 統合システムの見直しにより、評価システムを切り離す必要があった
- 情報の一元管理によるマネジメント・人材育成が必要と考えた
活用法
- 2種類の評価制度をカオナビ上で運用
- 意向調査のような承認が必要な書類の配布・回収に活用
効果
- 各人事情報へのアクセススピードが格段に速くなった
- 多岐にわたる機能活用により、さまざまなデータを可視化できた
「年齢や性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、すべての県民が、誰一人取り残されることなく、自ら思い描く人生を生き、幸福を実感できる自立分散型の社会」を2040年までの目指す姿として掲げる群馬県庁様は、その一環として行政・教育などさまざまな面でDXを推進しています。
今回は総務部 人事課 人事係 副主幹 平井信之様、主任 根岸徹様に、カオナビの活用についてお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2024年9月2日)現在の情報に基づいています。
決め手は導入実績と専門部隊によるフォロー
──はじめにカオナビ導入のきっかけをお聞かせください。
平井様:
きっかけは従来システムの見直しです。従来は人事評価・時間外管理・稟議など総務全般のシステムを一つに統合していました。しかし、さまざまなシステムをつぎはぎで構築したシステムゆえに運用や管理に課題があり、人事専用の機能を切り離して運用することになりました。
また、転職の一般化やキャリア意識の芽生えなどの社会的背景を踏まえ、多様な人材を活用するには、人材情報の一元管理によるマネジメントや人材育成が必要と考えたことも、タレントマネジメントシステムの導入につながっています。
──数あるタレントマネジメントシステムの中で、カオナビを導入した理由を教えてください。
平井様:
通常は入札で事業者を選定することも多いですが、費用面だけでなく機能面での検討ができるプロポーザルによる公募を行い、やりたいことが最も実現できるシステムとしてカオナビを選びました。
選んだ理由は大きく3つあります。
1つ目は、提案の内容が具体的で、有用なシステムである根拠が明確だったことです。本県の人事評価制度をしっかり再現でき、自由度が高いシステムだと感じました。
2つ目は、ほかの市役所や行政機関での導入経験が多く、安心して運用できると感じた点です。
そして最後に、システム導入や導入後のフォローが充実していると感じたことも大きいです。カオナビは官公庁の専用部隊があり、導入検討段階からフォローが細かく、導入に際しての疑問にも丁寧に反応をもらえました。
総務部 人事課 人事係 副主幹 平井信之様
カオナビ活用の第一歩は評価の仕組み再現から
──評価制度の概要を教えてください。
平井様:
本県の評価制度は、能力評価と業績評価の2本柱となっています。能力評価は、日頃の業務の中で、コミュニケーションや計画性といった、評価項目に挙げる期待行動が持続的に取られているかどうかを通じ、発揮した能力の有無や度合いを評価するものです。
一方の業績評価は、期待行動(能力)を通じ、上げた業績の有無や度合いを評価するもので、目標管理制度を用いて実施しています。
2023年度末から業績評価を、2024年度からは能力評価もあわせてカオナビで運用しています。
──具体的にカオナビの機能をどのように活用していますか?
根岸様:
旧システムで運用していた評価シートのフォーマットを、評価ワークフロー機能「スマートレビュー」で作成し、一次評価者・二次評価者を経るワークフローを構築しました。
システムの切り替わりにより、職員からの問い合わせはある程度あるものの、大きな混乱もなく運用することができています。
評価ワークフロー機能「スマートレビュー」の画面イメージ
──システムを使ってみていかがでしたか?
根岸様:
評価シートのフォームやワークフローを設計しましたが、使い勝手が良いため、思っていたよりもサクサクと組み立てることができました。設計の自由度が高いこともうれしい点ですね。
平井様:
評価のほかに、意向調査も今後スマートレビューに集約したいと考えています。評価シート同様に種類があるため、現状のExcel運用では工数がかかってしまいます。
スマートレビューは評価に限らず、承認やチェックのフローが必要な書類のやり取りにも使うことができます。すでにフローやフォーマットの構築をはじめているので、2024年度の後半には運用を開始したいと思っています。
総務部 人事課 人事係 主任 根岸徹様
人事も職員も、全員にとってなじみのあるシステムへ
──そのほかにカオナビ導入によって得られた効果はありますか?
平井様:
カオナビに人事情報を一元化したことで、ざっくりとした計算ですが、各データへのアクセス速度が1.5倍~2倍ほど向上したと感じています。
今までデータを探す作業に多くの時間を費やしていましたが、空いた時間を生産的な業務にあてられるようになりました。
根岸様:
クラウドでアクセスできるため利便性が高く、UIが分かりやすいので、管理者としていろいろなことをカオナビで実現できます。
例えば抽出したい情報を絞ってシートにまとめたり、そこから個人の情報に飛んだりと、工夫次第でさまざまなデータを可視化できています。
想定以上に多くのことをカオナビで実現できると分かって、同じ人事のメンバーからも要望が増えてきています。「できることはカオナビに集約したい」という期待を感じますね。
──今後の活用展望についてはいかがでしょうか?
根岸様:
データの集約や可視化はもちろん、これからはデータの分析も進めていきます。民間企業で人的資本の情報開示が進むのと同様に、群馬県では、公務現場でも人材の重要性は高いものと考え、「職員が幸福感・やりがいを持って働ける環境であるか」を測るデータ・取り組みなどを整理・公表することにしました。このレポートの作成などにも、カオナビのダッシュボード機能などを活用して効率化できないか期待しています。
平井様:
私たちは公務員ですから、前例のない革新的な取り組みを進められる職員だけがいればいいのではなく、多様な県民のニーズに合わせて柔軟に対応する職員、法令に則って正確な仕事をこなす職員も必要です。
だからこそ、カオナビの各種機能で人材に関するデータを分析して、行政機関ならではの文化や特徴を踏まえたタレントマネジメントを進めていきたいですね。
──担当者としての意気込みがあれば教えてください。
根岸様:
公務員ですので異動や担当変更も多く、来年にはカオナビの運用担当が変わっている、ということも十分あり得ます。だからこそ、運用をスムーズに引き継げるよう、カオナビを運用担当だけでなく、人事課全体になじみのあるシステムにしていきたいです。
平井様:
その先の話として、人事課で導入したシステムではありますが、ゆくゆくは職員自身も活用できるシステムに育てていくのが理想です。
人事部門だけでなく、システム導入の効果や利便性を職員にも感じてもらえるように、人材データベース機能「プロファイルブック」や、組織図機能「シナプスツリー」など、機能をオープンにしながら、現場の要望にも応えていきたいと思います。
- 職員数:
- 4,216人(2024年4月1日時点/知事部局職員数)