日本を代表する自動車メーカー 本田技研工業株式会社(以下、Honda)のグループ企業として自動車関連の物流を手掛けるのが、今回ご紹介する株式会社ホンダロジスティクス様(以下、ホンダロジスティクス)です。同社ではベテラン社員の定年退職世代をむかえ、若手社員ならびに新卒社員の早期育成を実現する支援体制の構築が急務。また、海外事業の拡大を見据えたグローバル人材の育成に向け、タレントマネジメント体制の整備をスタートしました。その基盤のツールに「カオナビ」を選んだ理由とは?
ホンダロジスティクスの「自動車物流」とは?
生産計画に基づく「定時・定点・定量」の物流を実現し、モノづくりを支える
倉橋亮夫様(以下、倉橋様):生産調達物流(自動車部品の運搬)では、自動車の生産計画に基づいて、生産ラインに必要な部品を「定時・定点・定量」で納入することが必須です。つまり、生産ラインの工程で必要な部品を、必要な時間に、必要な点数を、必要な量だけ届けることが物流会社に求められるのです。
当社の役割は、Hondaより提供される生産計画をもとに、生産ラインの動きに合わせて納品でき、かつ各サプライヤー様への集荷を効率的に行える物流計画を立案・実行することです。その物流計画に基づいて、当社の子会社や協力先の運送会社が実際にトラックを走らせ、生産調達物流や完成車物流(完成した自動車の運搬)などを行なっています。
西村優毅様(以下、西村様):当社の強みは、ただ運ぶだけの物流ではなく「流通加工」によって付加価値を提供していることにあります。例えば、タイヤとホイールを別々に運ぶより、組みつけてしまったほうが体積上の効率が良く、生産工程を一部削減するメリットも提供できます。
Hondaのグループ会社とは言え、物流領域を全ておまかせいただけるほど甘くはありません。グループ外の他社にシェアを奪われないよう、ホンダロジスティクスにしかできない物流のクオリティと付加価値を生み出し常にお客様へ弊社の物流サービスを求められ続ける必要があります。
海外事業が業績をけん引。グローバルに活躍できる人材の育成に注力
倉橋様:近年、国内の自動車生産台数が停滞傾向にある国内市場では、サービスの価値を高めることや新たなサービスへ展開する事により事業の幅を広げることが重要となります。一方、海外における物流需要は大きく伸びています。そのため、当社では中国、アメリカを中心に14カ国に拠点を置き事業を拡大しています。今後、さらなる海外人材ニーズに応えるため、若手を中心にグローバルで活躍できる人材を育成していくことを計画しています。
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「カオナビ」の導入に至った、ホンダロジスティクスの人材管理の課題
新卒社員の早期育成を目指す
倉橋様:しかし、その前に当社には人材に関する大きな問題があります。いまでこそ当社の新卒採用は年間15~30名ほどですが、1990年以前はその数倍の採用を行っていました。このため、社員の平均年齢が高齢化し、今後、大量退職世代を迎えます。今後、事業を維持・拡大するために、新卒社員を早期に育て上げるスキームを確立することが急務です。それに輪をかけて、特に採用をしぼっていた30~40代の中間層の不足が起こっています。こうした課題を乗り越え、現業区連携・調整しながら戦略的に人材育成を進めなくてはなりません。
解決すべき課題-1 若手社員とマネジメント層の世代間ギャップの克服
倉橋様:世代構成のアンバランスから、昔ながらの仕事の進め方を非合理的と受け取る若手社員と、そういった若手社員の考えや行動を理解できずに悩むベテラン層やマネジメント層との間に世代間ギャップが生じています。世代間ギャップが埋まらずに若手の育成が滞ることは未然に防ぐ必要があります。だからこそ、この世代間ギャップを埋めるべく人材育成の諸施策を円滑に運用できる人材管理システムを求めていました。
解決すべき課題-2 社員の資格やスキルを「見える化」して行う計画的ジョブローテーション
倉橋様:一方で、中間層がいないからこそ若手社員が部署のエースとして活躍していることも事実です。現場としてはせっかく育てあげた社員を簡単に異動させたくないのが本音でしょう。だからこそ、適切なジョブローテーションを通じて若手を育成しつつ、各事業部門にも納得のできる異動・配置を行う必要があります。
そのため、全社員のスキルや資格情報を見える化でき、人材配置をシミュレーションできる人材マネジメントシステムが必要でした。社員の所有スキルや資格が明確でないと、「いないと困るスキルや資格の保有者」を異動させてしまい業務に支障をきたしかねません。計画的なジョブローテーションを行うために社員の能力を正しく把握することは重要なのです。
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「カオナビ」導入の決め手
物流業界で目標となるようなスキル管理を行う企業が「カオナビ」を使っていた
西村様:最初はクラウドのほか、オンプレミスも視野に入れてシステムを検討していました。そんな折、物流業界団体の人事交流会である企業様と人材育成について情報交換会を実施しました。
その企業様では、社員の能力や成長の指標を明確に定義して人材育成を進めていました。具体的には、会社が求める能力やスキルに対して社員が自己回答を行い、その回答に上長が評価を加える形でスキルマップが確立されていたのです。その企業様が使っていた人材マネジメントシステムこそが「カオナビ」でした。
倉橋様:さらに「カオナビ」は、システムとしての柔軟性が高く、当社のやりたいことに当てはめてみても実現できるイメージができました。直感的に操作がわかりやすいインターフェースや、クラウドサービスとしてのレスポンスの速さも魅力的でしたね。
実際に使ってみると想像以上に設計がカンタンで驚きました。機能さえわかれば「カオナビ」への反映がすぐできてしまった、という印象です。既存システムとの社員情報の連携も、CSVを少し調整すればできてしまう。1年と見越していた導入準備期間を予定より半年以上早めて、テスト運用をスタートさせることにしました。
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「カオナビ」を活用した課題解決と展望
スキルや所有資格を登録し、社員情報を見える化
倉橋様:まずは各拠点の管理部門の課長がすぐに社員の情報に触れられるように、「カオナビ」の社員データベース機能PROFILE BOOKで社員情報の「見える化」を行ないました。顔と名前、役職、勤続年数などの基本情報はもちろん、異動・研修の履歴、所有資格、若手社員の面談記録なども登録しています。それまでエクセルで管理していた社員情報は、ほぼ全て「カオナビ」に移行できています。
特に所有資格の登録では、既存社員の資格の洗い出しを行い、公的資格報奨制度での取得資格と、直近20年の新卒社員の入社時の所有資格の全てを「カオナビ」で管理しています。最終的にはスキルマップを整備し、会社が求めるキャリアステップの要件定義を行ない、「カオナビ」で育成管理を行なっていくつもりです。
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新卒社員のリテンションに「カオナビ」を役立てる
倉橋様:新入社員の入社時フォローとして、現在は継続的なリテンションを図るべく、長期的な視点から3年間に複数回のフォロー研修を行っています。各タイミングで実施している面談では、仕事に対する展望や職場での困りごとなどを「カオナビ」に記録しています。上司や担当が変わっても一貫してバックアップできるので重宝しています。
西村様:さらにアンケート機能のVOICE NOTEを使って、研修に対する満足感や会社への要望などを確認し、次年度の改善に役立てています。一括で配信できますし、自動で集計もしてくれて便利さを感じています。
倉橋様:実はVOICE NOTEは、内定者に対しても活用しています。入社に伴う通勤方法の確認や自動車通勤の可否など細かな情報をヒアリングしていますよ。倉庫などの拠点は最寄駅からアクセスがいい場所にありませんから、配属や社宅手配などの貴重な情報として役立てられるのです。
今後の活用について
コミュニケーションの促進、若手社員育成の深化をはかる
倉橋様:現在、「カオナビ」に登録した社員情報は、意思決定に関わる一定以上の管理職だけが見られるようにしています。ですが、「自部門にどんなスキルや経験を持った人がいるか知りたい」というニーズは現場レベルでも高いため、今後はneed-to-knowを考慮しながら公開を拡大していきたいと思います。蓄積した人材情報をもとにスキルマップの整備やグローバル人材の定義づけなどを行ない、人材育成を深化させていきたいですね。
- 設立
- 2006年10月
- 資本金
- 13億円
- 社員数
- 1,389人 ※2018年3月末現在
- 事業内容
- 陸上・海上輸送(完成車・部品)、梱包、保管、部品納入代行、二輪・四輪SUB-ASSY業務、物流機器商品開発・販売、システム開発、航空貨物代理店、通関業、引越、その他