システム運用監視の分野で約20年の歴史を持つエヌシーアイ株式会社が、2017年1月、「アイティーエム株式会社」(以下、アイティーエム)に商号を変更。これを機に同社では1年以上の準備期間を経て人事評価制度の変更を行いました。その要は、「カオナビ」を活用して行われる、社員の成長支援を目的とした「1on1」。アイティーエムが今春より運用を開始する「1on1」と「カオナビ」活用法について、コーポレート本部 人事総務部 人事 課課長 吉崎 淳様と同課の桃田智絵様にお話を伺いました。
アイティーエム株式会社について
ITシステムの運用監視で、社会の「便利!」を支える
アイティーエムが主要事業として手掛けるのはシステム運用監視。対象とするのは、企業のWEBサイトやECサイト、あるいは社内の基幹システムなど多岐にわたります。企業のIT活動の運用監視を代行する、いわばITの守護者と言える事業です。
吉崎 淳様(以下、吉崎様):「システムはいつどんな時でも正常に機能して当たり前。その世の中の『当たり前』を支えるため、弊社のエンジニアが24時間365日にわたって顧客のシステムに異常がないかチェックし続けています。システム障害が発生した場合には、クライアントと取り決めた厳格な手順書に沿って迅速かつ正確に対応を行うため、高い集中力が求められる仕事です」
桃田智絵様(以下、桃田様):「お客様のサービスを守るため、万が一、障害が発生した場合には、夜間休日問わず、すぐに対応しています。強い責任感と使命感がないとできない仕事です。したがって、人事としては社員の活躍を適正に評価へ反映させることや、社員一人ひとりの要望を細やかに汲み取り、環境改善を行うなど、気持ちよく働いてもらえる土壌づくりを意識しています」
「カオナビ」導入の背景
社風をトップダウンからフラットへ変革。まずは人事と管理職が人事情報を共有できるコミュニケーションツールが必要だった
2017年1月に親会社が変わり、その後「アイティーエム株式会社」に商号を変更。これを機にトップダウンの傾向が強かった以前の社内風土を、社員一人ひとりがより自由に意見や要望を発することができるフラットな風土に改める変革に着手。そのために、まずは旧態依然とした人事管理のシステムにテコ入れを行ったそう。
吉崎様:「『カオナビ』導入前は、エクセルで人材データを管理していました。そのデータを扱えるのも人事課の一部の担当者に限られていました。その状況をどう改善しようかと考えていたときに、親会社で既に導入していた『カオナビ』を紹介されたのです。実際に使ってみると、シンプルで見やすく、使いやすい。これなら人事課全員で扱うことができると確信しました。また新しい人事評価制度の導入も検討していましたが、『カオナビ』は評価シート作成や運用フローなど、評価に関係する機能も自分たちでカスタマイズしやすく、弊社にとって最適なツールだったのです」
桃田様:「『カオナビ』の導入にあたって、最初に行ったのは社員情報の登録と、役員・管理職との情報共有でした。以前は、人事に問い合わせないと社員情報を確認できなかったのですが、『カオナビ』で社員情報を共有することによって、役員・管理職がすぐに社員情報を把握できるようになりました。特に評価時期は部下の等級や年収を過去にさかのぼって調べることが多く、人事課への確認で評価作業が一時的にストップするなど、評価作業のスピードにも影響が出ていました。『カオナビ』導入により、そのような問い合わせが減り、人事課も本来の業務に集中できるようになりました」
「カオナビ」の活用方法
社員の「成長」を促進する新人事評価制度とその要となる「1on1」とは?
社員がいきいきと自主性を発揮できるフラットな風土づくりのために、アイティーエムでは1年以上の準備期間を設けて新人事評価制度の要となる「1on1」の土壌をつくり上げてきました。2018年度より開始しているこの人事評価制度のポイントは、上長が「社員の声」に耳を傾け「社員の成長」を支援することにあるそう。
吉崎様:「システム運用監視は、その業務の特性上『ミスなく適切な対応ができて当たり前』。できて当たり前が大前提の業務である以上、これまで運用してきたMBO(目標管理)とコンピテンシー(行動評価)による人事評価制度では、『減点』はあっても『加点』が困難でした。そこで、新人事評価制度では各社員の『成長』を重視しています。期初の面談では、上長が社員一人ひとりと話し合い、双方の『こうなってほしい/なりたい』という成長のビジョンを擦り合わせて『期待値』を設定します。設定後、上長は社員一人ひとりに対して月1回のペースで1on1の面談を実施して、密なコミュニケーションをとっていきます。担当業務の進捗状況や課題、仕事上の悩みについて対話をしながら、期待値達成に向けた支援を行い、期末時点での期待値の達成度が評価されます」
桃田様:「1on1を実施するには、管理職が、部下の話をじっくりと聴くこと(傾聴)と対話の効果について、身をもって理解する必要があると感じました。いくら部下が自主性を発揮し、面談でビジョンを伝えても、上長が聞く耳を持てなければ部下の成長の機会を見逃してしまいます。また、アドバイスが上長の独善であってはトップダウンと変わりありません。そこで、昨年、役員陣が1年かけてコーチング実習を受け、1on1に必要な傾聴と対話を実践的に学びました。そして、各管理職のメンターになってもらい、現場で評価する管理職自身に傾聴と対話の効果を実感してもらう場を設けました。その上で今春からは部下の意見を受け止め、ポジティブな対話を行ってもらいます。1on1で社員一人ひとりの成長を促していきたいと思っています」
「カオナビ」を活用して「1on1」の精度と効果を高める
「1on1」の効果は成長支援にとどまりません。部下と上長双方のコミュニケーションが増すことで、業務のことだけでなく、キャリアや人間関係、そしてプライベートの悩み事に至るまで話は広がるはず。お互いのバックボーンがわかることで、相手の意見や考え方への理解も深まるでしょう。そこで、「カオナビ」の評価ワークフロー機能であるSMART REVIEWの活用を考えているそう。
桃田様:「記憶に頼った評価では、期末近くにあげた成果ほど印象に残りやすいもの。しかし『カオナビ』に毎月の面談記録をアーカイブしていくことで、毎月の記録をすぐに読み返せます。だから評価の際に『後半は伸び悩んだが、前半は頑張っていたな』と時系列に沿った部下の成長を確認し、プロセス全体で評価していただけると思います」
吉崎様:「異動があった場合も、上長は『カオナビ』で部下の成長記録を見て、深い理解に基づいた評価を維持することができるはずです。1on1によって、すぐに社員のパフォーマンスが変わることはないでしょう。しかし、上長との関係性が少しずつ変化する中で、長期的な視点で1on1の効果を期待しています」
「カオナビ」の活用で、上長のフィードバックの質を高める
「1on1」では、傾聴と対話だけでなく、上長から部下へのフィードバックの質を高めることも重要です。そこで新人事評価制度の開始に先立って、社員アンケートが簡単に行えるVOICE NOTEを使って、一般社員に現在の人事評価制度における面談状況を確認したそう。
桃田様:「現状の制度では、面談は半期に一度。2017年度上期の面談を終えたタイミングで、上長のフィードバックに対する感想を全社員から集めました。上長のフィードバックの質は、社員の納得感の醸成にもつながりますし、来期のモチベーションにも直結します。アンケートにおいてどんなフィードバックが行われたのかを確認し、管理職が自身の行ったフィードバックの振り返りに活用しました」
今後について
PROFILE BOOKを充実させ、社員同士のコミュニケーションをもっと活発に
今後はPROFILE BOOKに入力している社員情報をもっと充実させていきたいそう。そしてそれを、評価だけでなく、社員同士のコミュニケーションの活性化にも役立てていくつもりだとか。
吉崎様:「将来的には『カオナビ』で『自分はこの分野に強い』といった自己紹介ができるといいですね。業務上で困ったことや、知りたいことを同僚に相談できる環境をつくり、社員一人ひとりの持つナレッジを共有していきたい。それに、会社の中にどんな人がいて、どんな考え方を持っているのかを簡単に知ることができる環境を用意できれば、社員同士が互いに良い影響を与え合えるのではないでしょうか。これから、『カオナビ』をさまざまな視点で業務のプラスになるように活用していきたいですね」
- 設立
- 2017年1月
- 資本金
- 7,500万円
- 従業員数
- 121名(2018年6月1日時点)
- 事業内容
- 自社サーバー、ネットワークサーバー上にある顧客のITシステムを24時間365日、運用・監視を代行する「システム運用監視事業(MSP事業)」を中心に、クラウドサービス事業、データセンター事業、セキュリティ事業などITの土台を支える各種事業を展開。