東証一部上場企業で、音楽・動画・書籍配信サービス『music.jp(R)』や女性の健康情報サービス 『ルナルナ』などのコンテンツ配信でスマホ向け有料会員数、国内トップクラスを誇る株式会社エムティーアイは、2014年にカオナビを導入。
その結果、人事部の作業時間は6分の1に、システムの運用コストは50%の削減効果のほか、離職率も20%から10%に激減したといいます。今回は、カオナビを導入した経緯やその効果を中心に、コーポレート・サポート本部 人事部 部長 大谷 真様にお話をうかがいました。
以前のシステムは価格が高く、動作も重く、UIも使いづらかった
■『カオナビ』はその名のとおり、「顔がパッと浮かぶ」
―『カオナビ』を導入した時期とID数を教えてください。
2014年5月に導入しました。現時点で2年5か月ほど利用しています。ID数は約700。グループ会社を含めた、全従業員にIDを付与しています。当社のグループ会社は、年々増えています。
カオナビは、会社の枠を超えて人材を把握できるので、たいへん助かっています。
特に新卒入社の時期である毎年4月が、いちばん盛り上がっていますね。みんな、新卒社員のことを知りたくて検索しているようです(笑)
―『カオナビ』導入以前は、どのような課題・問題があったのですか?
私はもともと事業部門にいたのですが、3年半ほど前に人事部に異動してきました。異動時に経営陣からは、「社内人事を変えてほしい」「人件費や人員数の予測ができるよう、可視化してほしい」というミッションが与えられました。
ところが、いざ人事部に異動してみると、従業員情報が一元管理されていない。人事部が従業員を把握するというのは、とても重要な部分です。そこでまず、人材の「見える化」に着手しました。
―『カオナビ』導入以前は、どのようにして人材情報を管理していたのですか?
異動当時は、5年リースで契約していたあるシステムを利用していましたが、次の3つの点で不満を感じていました。
1. 価格面の負担が大きい
2. 動作が遅い、重い
3. UIが使いづらい
特に困っていたのは、その動作です。自社用に大幅なカスタマイズしていたこともあってか、非常に重く、動作が遅い。これには人事部全員が困っていました。
―システムの動作が遅いと、人事部ではどのような問題が起こるのですか?
おもに2つあります。
1つは、動作が重いので、そもそも検索しなくなります。起動するまでの待ち時間が非常に長いんです。その長さは、「あれ?ダイヤルアップ回線だっけ?」と思うほど(笑) 本当にびっくりしました。もちろん、人事部の中でも使い慣れている人は、辛抱強く待って使っていましたけど。
2つ目に、UI(ユーザーインターフェイス)が使いづらかった。社員情報を選んで、そこから先を選んでというステップが、すごく多かった。ログインも面倒でした。二段階認証だったと思いますが、ソフトを2つ通さなければならなかったり、大変でしたね。
そんなこともあって、システムの乗り換えを検討しました。すると、人事部の中から「フロントとして使うなら、カオナビがいいのでは?」という声が複数あがって来たのです。
動作も軽く柔軟さがあるカオナビが当社のスピード感にマッチしていた
■「いい感じに、そぎ落としてあるな」それが、『カオナビ』の第一印象
―『カオナビ』の第一印象は?
人事部が扱う情報は、極めて秘匿性の高い個人情報ですから、情報セキュリティ面が気になりました。その点は導入前にしっかり確認し、不安はなくなりました。
カオナビを見たときに気に入った点は、「考え方」と「システムとしての使い勝手」です。「UX、ユーザー体験として、単純に顔で見たほうがわかりやすい」というのと、「シンプルで軽いシステム」に好感をもちました。いい感じにそぎ落としてあるな、という印象でしたね。「なんだ、これで十分じゃん」って思ったんです。
―以前のシステムは、自社用にカスタマイズしていました。カスタマイズの面で、『カオナビ』に不安はありませんでしたか?
ありませんでしたね。もっとも、カオナビは管理画面から自分たちでカスタマイズできますからね。あれで必要十分じゃないですか。「基本情報、学歴、職歴、以上、終了!」みたいな。それが手軽でいいんですよね、動作も軽いし。
特に、当社のビジネス環境は変化が激しく、それに対応するスピードも重要です。そのため、自分たちで簡単にカスタマイズできる柔軟さがあるカオナビは、当社のスピード感に非常にマッチしていると思ったんです。
―他にも選定するうえで重視した点はありますか?
自分たちでカスタマイズができる点のほかにも、「人事部だけが人事データを使うのではなく、経営陣や現場にも人事データを活用してもらう」というねらいもありました。もちろん権限によって見られるデータは限られていますが、コミュニケーションのきっかけづくりにしてもらい、社内を活性化させたいと考えたんですね。
そのときに、がっちりしたいところは、がっちりしたシステムに任せて、ユーザーに触れるところ、一番価値が発揮されるところは、柔軟で分かりやすいシステムにしたほうが良いという結論になったんです。
人事が使う、「明朝体的なお堅いシステム」は、それなりのシステムで運用しますが、経営層や現場はそこまでテクニカルなシステムを求めていませんよね。その意味では、カオナビさんが狙っていた隙間に、ちょうど僕たちがハマったという感じでしょうか(笑)
「見えないコスト」が解消され、かなり楽しくできています
■ランニングコストの安さで乗り換えを決意
―システム導入にあたり、比較はしましたか?
もちろん、比較しました。確か、3~4社くらいです。
まず、「基幹部分をどうしようか?」「勤怠をどうしようか?」というのがあり、さらに「フロントの部分をどうしようか?」というのがあって、その組み合わせを考えました。最終的に、3案か4案にまとまり、その1つの組み合わせの中にカオナビが入ったのです。
―3~4社で比較し、『カオナビ』を選んだのは、どのような点が良かったのですか?
部長職としては、やはりランニングコストです。10年使い続けても、以前のシステムよりも安い。もう少し短期間、たとえば5年くらいで考えても、カオナビを使い続けたほうが、自分たちの効率化や見えないコストの部分でも、使ったほうが間違いなくいいという判断に至りました。
―「見えないコスト」というのは、具体的にどのようなコストですか?
先ほど話したように、動作が重すぎて検索するのに時間がかかるとか、使い勝手の悪い人事システムを使い続けて、知恵を絞ってパズルを解くような作業にかかる時間ですね。それがカオナビであれば、レスポンスも良いですし、何より楽しく使えています。実際の効果も出ていて、かなり短縮できていると思います。
■コストは半減、作業時間は6分の1に
―コストは変わりましたか?
大きく変わりました。全体のコストは半減しましたね。 時間的なコストでいうと、短縮された時間は6分の1にはなっていると思います。以前のシステムで1分かかっていたものが、間違いなく10秒以下になっていますからね。効率はとても良くなりました。
具体的には、人材配置を考える際に社員の希望やキャリアを加味しながら「このポジションへの適任者は誰か?」という本質の部分に集中できるようになりましたね。決定にじっくり時間をかけることができたり、会議自体が短縮化されたりという「見えない効果」は、間違いなくあります。
たとえば、打ち合わせの時も「◯◯さんの学歴って、なんだっけ?」となった時に、以前のシステムではすぐに見ることができないので、「あとで調べようか」となっていましたが、今では誰かが「カオナビ開きます!」となるんです。カオナビのいいところは、情報が自然と溜まっていくんですよね。
―「情報が自然と溜まっていく」とは、具体的に?
情報を入力することで自然と情報も溜まりますし、社員との面談などで入手した情報の履歴も入力しているので、あとで確認ができます。何より、その情報が人事部内で共有できるんです。これまで担当者レベルで個別に社員をフォローアップしていたことが、情報を共有することで、人事部全体でフォローアップできるようになりましたね。
―以前のシステムでは、個人的な情報はどうされていたのですか?
「誰かが知っているかも?」というように、かなり属人的になっていました。どうしても情報が必要な場合は、起動を1分以上待ってファイルを開き、調べていました。それでも、接触履歴や個人情報が入力されていなければ、意味をなしませんでしたけどね。いま、人事部は20名在籍しているので、情報共有をするだけでもひと苦労でした。
3年間の離職率が、20%台から10%以下に激減
■社内700名のユーザーにも、問題なく公開できました
―『カオナビ』を導入し、人事部でデータを共有することが容易になったことで、どのような効果が現れましたか?
退職率が大幅に下がりました。もちろん、育成をていねいにしたという側面もありますが、人材育成や現場対応など人事部内のコミュニケーションが、顔写真のあるカオナビのおかげで活発化されたことが大きいです。新卒入社3年間の離職率が20%台から10%以下に激減しました。これはカオナビ導入によってコミュニケーションが活発化されたことによるものだと感じています。
―導入に際して、社内ユーザー700名の反応から抵抗は出てきませんでしたか?
クレームや抵抗は来るだろうなと予想していたのですが、全然ありませんでした。人事部に来た連絡は、写真撮影に関することや写真の写り具合、写真の持ち込み許可やイラスト対応など、そういうレベルであって、導入や運用面での抵抗やクレームはありませんでしたね。
―なぜ、社内ユーザーからクレームが来なかったのでしょうか?
もちろん、カオナビの使い勝手の良さもありますし、公開する情報を限定できることも影響しているのでしょう。
それと同じかそれ以上に、社内インフラを活用し生産性を上げようという点は、社長を中心に啓蒙活動を行うカルチャーがありましたので、新しいインフラが入る抵抗感は低いと思います。その面でも人事部としては、とてもやりやすい土壌があったと思っています。
■今後は、採用段階から取り込んでいきたい
―先輩ユーザーとして、人材管理システムの導入を検討している人事部の方へ、アドバイスをお願いします。
採用、育成、タレントマネジメントといったところで、扱うデータ量が増えてきているので、それらを分かりやすく集約し、可視化する必要性は感じているのではないかと思います。すると、キーとなるフロントサービスはあったほうがいい。その意味では、カオナビさんは非常にわかりやすく、使い勝手が良いと思います。その点は、一番推したいところですよね。
―『カオナビ』を使って、今後どのような取り組みを考えていますか?
採用・内定から、新卒入社のところですね。採用活動から内定者時代、新卒入社のところまで、情報を一貫して管理できるようにしたいと考えています。
―『カオナビ』に何か期待することは何かありますか?
カオナビについては、どんどん改善をくり返してもらい、より一層のサポートも期待しています。今後とも、よろしくお願いします。
―大谷様、本日はお忙しいところありがとうございました。
(2016年10月取材)
- 設立
- 1996年8月12日
- 資本金
- 5,012百万円(2016年9月30日現在)
- 従業員数
- 786名(連結・2016年9月30日現在)
- 事業内容
- コンテンツ配信事業。「音楽」「ヘルスケア」「電子書籍」「生活情報」「エンターテインメント」など、毎日の暮らしを楽しく便利にする多彩なサービスを、モバイルサイトやアプリを通じて提供しています。