課題
- 基幹システムとカオナビの情報連携に、相当な手間が生じていた
- 入社者のオリエンテーションまでに必要な情報が用意できないことがあった
- 月末月初の情報更新作業に4時間ほど要していた
効果
- 月末月初の定常業務の自動化を実現
- 自動連携により基本作業がエラーチェックのみになった
1976年に設立されたリコーリース株式会社様は、リース&ファイナンス事業、サービス事業、インベストメント事業の3つの事業を展開しています。
同社は、人事評価の効率化を目的に2020年10月にカオナビを導入し、活用を推進中。今回は、導入当時からの変化や新たに活用をはじめた機能、具体的な活用方法について、グループ人財統括本部 人事部 人事戦略課 課長 山越 昭明様、グループ人財統括本部 人事部 人事戦略課 笠井 悠平様、佐藤 栄子様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2024年12月27日)現在の情報に基づいています。
導入から4年。着実なカオナビ活用を推進中
──前回事例インタビューにご協力いただいた際、情報の整理や業務効率化などを進めていきたい、と仰っていましたが、その後運用上の変化はありましたか。
山越様:
SPI情報をデータベース機能「プロファイルブック」に追加しました。基本的には入社時にこの検査を受けていただきますが、既存の社員についても2年ほど前に一斉に実施しました。
全社的なコミュニケーションの傾向の把握と組織内でのコミュニケーションの活性化を目的としており、上司が部下の情報を確認できるだけでなく、部下も上司の情報を見られる権限設定で運用しています。
また、当社では毎週や隔週など、部署ごとで定期的に1on1を実施しているのですが、決まったフォーマットがなく記録方法も統一されていませんでした。そこで、「プロファイルブック」に面談記録を蓄積。あらためてレイアウトを統一し、さらにテーマを分類することで、一部形骸化していた1on1のアップデートも実施しています。
グループ人財統括本部 人事部 人事戦略課 課長 山越 昭明様
──ありがとうございます。プロファイルブック以外にも、最近活用を開始した機能はございますか。
山越様:
昇格面接を実施するにあたって、事前にWordやExcelで自己申告書を作成してもらっていましたが、現在は評価ワークフロー機能「スマートレビュー」を活用することで、ペーパーレスで運用できています。
これまで提出された書類は人事部にて社員ごとに取りまとめ、それを面接官である役員に送付する作業が必須でしたが、現在は自己申告書だけでなく、個人の人事情報シートなどもカオナビ上で確認可能となり、手間の削減と大幅な効率化を実現しています。
佐藤様:
業務部門では、社員一人ひとりのスキル情報をExcelで手動管理しており、その中で「カオナビの機能を使って自動化したい」と相談を受けました。
そこで、スキル管理機能「アビリティマネージャー」のディクショナリ管理機能を活用し、スキルシートを作成しました。実運用はこれからですが、今後は部門ごとに必要なスキルを抽出し、それぞれの自己評価、部門評価を組み込んだ上で、最終的に分析までできるような流れを作りたいと考えています。
「アビリティマネージャー」の画面イメージ
4時間ほどかかっていた定常業務の負担がゼロに
──CSVデータ連携時のデータ加工の手間を大幅に削減し、自動連携も可能にする「カスタムCSV」もご活用いただいていると思います。どのような背景があったのでしょうか。
笠井様:
従来は、基幹システムに登録された情報を、都度カオナビに連携していました。そのため、情報が増えるほど連携の手間が増えていくという悪循環が生じ、担当者の負担も相当なものでした。
そんな中、データの自動連携が可能になる「カスタムCSV」が実装されることを知り、思わず山越さんとの外出中に、その場で導入の内諾を取ったほどです。
──どのようにカスタムCSV機能を活用していらっしゃるのか、具体的に教えてください。
笠井様:
「カスタムCSV」機能は、CSVを特定のフォルダから自動で吸い上げる機能です。そのため、情報はすべてCSV形式でフォルダに格納することが前提となります。
そこで、基幹システムから情報を取り出し、取り込み用フォルダに格納するRPAを内製。加えて「カスタムCSV」で取り込み用フォルダを参照し、情報をカオナビに反映させるという作業を行いました。
現在は「インターネットを開いて基幹システムにアクセスし、ログインIDを入力、必要な手順を踏んでダウンロードした上でフォルダ内に移動させる」といった、本来人間が行う一連の作業を、「カスタムCSV」を活用して自動化しています。
「カスタムCSV」では、自動的にデータを変換してカオナビにアップロード可能
──「カスタムCSV」を導入後、業務負荷が軽減されている実感はございますでしょうか。
佐藤様:
「カスタムCSV」による自動連携で、業務負荷は大幅に軽減されています。これまで月末月初など、日常業務をこなしながら定常業務として入力作業を行うのはかなりの負担でした。しかし現在の作業はエラーチェックのみで、決められたタイミングで必ず対応しなければならないというプレッシャーからも解放されました。
笠井様:
具体的には生年月日、学歴、勤続年数、入社年月日、採用区分、資格等級、役職、人事異動情報などの個人情報を連携しています。当社では、それらの情報の更新作業を毎月全社員分行うため、その作業だけで3~4時間要していました。しかし、自動連携されたことで日常業務にも余裕が生まれ、急ぎの案件にも迅速に対応できるようになっています。
グループ人財統括本部 人事部 人事戦略課 笠井 悠平様
「カスタムCSV」なら“情報”が増えても“手間”が増えない
──「カスタムCSV」を今後どのようにブラッシュアップされていく予定でしょうか。
笠井様:
現在、勤怠、エンゲージメント、360度評価など、それぞれの情報を別のシステムで管理しています。今後は、情報を照会する入口が常にカオナビとなる環境を構築したいと考えています。そこから、経営や組織の状態、育成状況など総合的な情報がリアルタイムに把握できる環境を整えたいです。
また、「情報が増えても手間が増えない」という点が自動連携できる「カスタムCSV」の大きなメリットです。今後は、労働時間や給与情報といった「本来人事のみで管理される内容ではあるが、マネジメント上極めて重要と考えられる情報」についても、限定的な範囲ではありますが、カオナビに掲載していきたいと考えています。
──カオナビを導入して得られた効果について教えてください。
佐藤様:
「アビリティマネージャー」を活用している業務部門と定期ミーティングを行う中で、私自身、回を重ねるごとに形ができあがっていることを実感しますし、業務部門の担当者からも運用しやすく助かるといった声があがっています。
スキルマップシートの設計自由度が高く、人事以外の部門から相談や要望があった際、柔軟に対応しやすいのも魅力です。
グループ人財統括本部 人事部 人事戦略課 佐藤 栄子様
問い合わせが増えるのは見られている証拠、社員にもしっかり還元していきたい
──最後に、カオナビを用いた今後の展望、担当者としての目標などあれば教えてください。
笠井様:
人に関するマネジメントコストや評価にかける時間を最小化し、事業活動にかける時間を最大化することが人事の役割だと思っています。その点にカオナビが寄与できれば、人事戦略課の大きな武器になると考えています。
また、情報を蓄積することも大切ですが、都度入力してくれている社員に対し、何らかの価値やアウトプットとして還元するサイクルの追求も、私たちの重要な役割だと思っています。
佐藤様:
社員一人ひとりが、日常的にカオナビが活用できる環境を構築したいです。組織長から「部下の情報を一覧で見たい、一括操作がしたい」といった相談を受けることも多いので、私自身としても機能をより深く把握し、役立つ機能を全社に案内していけたらと考えています。
山越様:
体感ですが、私自身は社内のカオナビ利用率はかなり高いと思っています。社内から「これは難しいですか?」「こんな風に見られるようにならないですか?」といった問い合わせが来ることも多く、それだけ活用されているのかなと感じます。
今後は情報量を充実させつつ、問題解決に役立つTipsを発信していきたいです。また、ダッシュボード活用法の一つとして、例えば社員や退職者、労働時間の推移など、リコーリース全体の人の流れをインプットし続けることができれば、人的資本リテラシーの向上も期待できると考えています。
- 設立:
- 1976年12月
- 社員数:
- 1,641名(2024年9月時点)