課題
- 職員の人財情報がさまざまなシステムに点在
- 評価や人事異動の検討はアナログで、担当者の業務負荷が膨大
効果
- 各種申告業務などを一元化し、業務負荷を大幅に削減
- 集計や申請の進捗をシステム上で一括管理
展望
- 自組織の最適化から、地域課題の解決へ広げていく
- 人財マッチングを基盤とした地域貢献にも着手
渋谷区役所では、タレントマネジメントシステムの「カオナビ」と、異動対象者の経験や希望とポジション要件のマッチングをスコア化し、AIが配置案を提案する「Talent Matching※」を導入しました。導入の背景や2つのシステムの組み合わせによる効果、今後の展望について、渋谷区役所の皆さまにお話を伺いました。
※デロイト トーマツ コンサルティングが開発
人財情報の点在と経験則に基づく配置案の策定
渋谷区役所では、職員の人財情報がさまざまなシステムに点在して登録されていて、主に経験則に基づいて処理していました。今後はデータを根拠に意思決定を実現するために、人財情報を一元管理・可視化できるプラットフォームの構築が急務と考えていました。
また、評価や人事異動検討はアナログなプロセスで実施していたので、職員の作業負荷が大きくなっているという課題がありました。特に異動検討業務については、担当者の経験則に頼って配置案を策定していたので、組織全体の生産性を向上させるための最適配置ができているのか、確証が持てていませんでした。それらの課題を解決するためにデロイト トーマツ コンサルティングさんにご提案いただいたTalent Matchingとカオナビから成る人財マネジメントシステムを導入することにいたしました。
業務のプロセスをシンプルに。業務負荷を大幅に削減
2022年10月からカオナビの本格運用を開始して、担当者からは効率化が図られたと好評の声が上がっています。また、同年12月からTalent Matchingのトライアル利用を開始しました。人事異動の効率化を期待しています。
これまで紙やExcelで実施していた各種の申告、また、人事評価をカオナビ上で実装できたことで集計や進捗管理がとても簡単になりました。また、業務のプロセスがすごくシンプルになったことで、業務負荷が大きく軽減されたという実感を持っています。
Talent Matchingに関しては、我々は人の手で異動案の作成を行っていましたが、それと今回導入したTalent Matchingを比較すると、とてもじゃないですが、全然比較にならないくらい業務が効率化されたと思っています。まず、人の手を介した作業と全然違うと思っている点は、人ですと今までは頭の中で職員を思い浮かべながら、異動案を考えていたのですが、それを全部AIにやらせるので、必要な情報であったり、観点が漏れなく、網羅的にできる点はすごく有意義に感じていますし、今後もどんどんブラッシュアップして、特性だったり、観点だったりを盛り込んでいけば、もっと良い異動案ができると思っています。
今年度の異動案については、我々がいま、手で作業している時間数などを比較すると、大体、我々の工数を300時間程度は圧縮できるのではないかと見込んでいます。
自組織の最適化から、地域課題の解決へ広げていく
本格的なAIとの競争社会が始まっています。今できること、今すぐやるということが必要なんです。ですから、私たちは今できることの一つとして人を生かす。そして人と人をつなげる。これは人の能力が最適に組織に適応するような分析を行って、一人ひとりがやりたいことができている状態をつくり出していく。
自分の組織の中の人財マッチングだけでなく、都市の中にいる人財のマッチングに基づいて、何かしら地域課題を解決したり、社会課題を解決したり、何かスタートアップが生まれたりするような街であり続けるということが広義に求められているので、まずは自分たちの組織の最適化をしっかり行うことが前提になって、それを広げていくということが重要ではないでしょうか。
- 設立:
- 1932年10月1日(昭和7年)
- 職員数:
- 2,041名 ※2023年4月時点
- 業種:
- 官公庁