魚沼市役所 総務政策部企画政策課
情報管理係 滝波 隼様
魚沼市役所 総務政策部総務人事課
人事給与係 中村 信利様
背景と課題
会計年度任用職員への評価制度拡大を機に、制度運用の効率化も課題に
滝波様:
魚沼市は新潟県の南東部に位置し、旧北魚沼郡の6か町村が合併して2004年に誕生しました。他の自治体と同様、高齢化と人口減少が進みつつあり、市政でも人材不足を補う業務効率化が大きな課題となっています。そうした中、2020年4月の改正地方公務員法の施行により、約500名の正規職員に加えて、約450名の会計年度任用職員(旧称:非常勤職員)も人事評価の対象となり、制度の見直しとともに運用の効率化を図ることになりました。
中村様:
実は、以前から人事評価にはさまざまな課題がありました。半期ごとに職員や上長が人事評価のエクセルファイルを個別に開いて確認・入力し、それを紙に出力して評価や面談などに使用していたのですが、人事側で評価のワークフローやステータスが管理しづらく、評価シートの回収・集約も煩雑で、評価後はエクセルデータを1名分ずつ印刷してシートをファイルに保管する作業も発生していました。さらに保管先である書庫は車で10分ほど離れた旧庁舎だったため、管理職から「部下の過去評価を見たい」と依頼があると、出向いて探し出すのに手間がかかり、過去のデータを活かしにくい状況に陥っていました。そうしたこともあって、新制度となって対象人数が増える前に、システムの導入を希望したわけです。
導入理由
追加コスト不要で、現場で設定変更が容易にできる操作性が決め手
滝波様:
人事からの依頼を受け、評価システム導入の検討を行いました。オンプレミスやクラウドなど3社を比較し、業務効率化の観点から、使い勝手の良さや柔軟な権限設定、アクセス・管理のしやすさなどの観点から精査し、どれについても優れた「カオナビ」に決定しました。一番の決め手になったのは「フォームなどの設定・変更を自分たちで簡単に行えること」でした。新人事評価制度では正規職員と会計年度任用職員で評価の項目や基準が異なり、運用後も変更・改定が必要になる可能性がありました。しかし、年間予算が厳しく管理される自治体としての制約もあり、変更の度に外部依頼で追加費用が発生することは避けたかったのです。「カオナビ」なら自分たちでカスタマイズができ、月額制なので予算組みしやすかったのもポイントです。
中村様:
「カオナビ」の導入が決定したのが2020年3月で、そこから「スマートレビュー」(評価ワークフロー機能)の設定・調整を行い、同年9月の上期業績評価から新制度用の運用を開始しました。その間、全ての設定変更・調整を内部で行い、不明点も「カオナビ」のサポートデスクを利用してスムーズに解決しました。会計年度任用職員も含めて全面的に運用を開始したのが2021年4月で、私も同じ頃に他部署から異動してきたのですが、「カオナビ」のインターフェイスは直感的で使いやすく、すぐに慣れることができました。
導入の成果
催促や回収・集計などの業務が圧縮され、評価管理が容易に
中村様:
4月の目標設定時に行った「カオナビ」の「スマートレビュー」への各職員ごとのデータ入力はスムーズにいきました。それをエクセルに入れ直したり、印刷したりする人もいたのですが、それでも紙が独り歩きせず、データはシステム上にあり、ワークフローもステータスも明らかなので、人事としては安心していられました。特に消防署や保育園、小中学校の給食施設など、庁舎と離れた施設の進捗状況までわかるのはいいですね。9月の評価時には、回収や集計も同様に効率化されると期待しています。
また、システム運用のために目標・評価シートの文字数制限を行ったことで、目標を簡潔に書くようになって評価がしやすい環境になるなど、思わぬ効果もありました。
ペーパーレス化を進め、保管スペースや煩雑な管理業務もゼロに
中村様:
今後、実感するであろう効果としては「紙の管理がなくなること」です。新制度では目標設定・上期評価・下期評価の年3回、1回につき1人3枚、約950人分の紙が消え、管理スペースが削減できます。それ以上に“紙を管理する煩雑さ”が消えるのは、業務的にも気分的にも大きな効果といえるでしょう。効率化によって生み出した時間は、働きやすい環境づくりや評価制度の改善など、人事の本来の仕事に当てられたらと考えています。
滝波様:
本庁舎のネットワークが一部有線LANであることや、デスクトップPCを一部で使用しているというIT環境も影響して、完全に紙文化を抜け出したわけではないですが、今年初めて評価者になった人のほとんどは紙を使っていません。今後、ハードやネットワークが変化すれば、個人レベルでもペーパーレスが進むと思います。
過去の評価データの共有で、経験・評価を活かした采配を促す
中村様:
人事評価に紐付いて、目標や達成度、指導記録などが蓄積され、過去のデータとして後日閲覧が可能になることを想定しています。市役所は部署間で異動が激しく、前職はともかく、その前はどの部署でどんな仕事をし、どんな評価を受けたのか、直接の上司ですら把握することは困難です。しかし「カオナビ」上で経歴などを共有することで、知見や経験を活かした仕事の割り振りも可能になるでしょう。
今後どう使うか
職員950人の交流や就業意識の醸成に「カオナビ」を活用したい
中村様:
「スマートレビュー」は本人と上長が閲覧できますが、今のところ「プロファイルブック」はログインした本人しか閲覧できません。閲覧制限をかけた上で、職員全体に公開し、相互に情報を見られるようにしたいと考えています。それによって職員同士の交流を図り、異動時の効果的なサポートや業務連携の活性化などにつながることを期待しています。
滝波様:
適切に評価され、かつ過去の評価を踏まえて“今の自身の働き”が見られている、という職員の意識が醸成されることが、市民サービスの向上にもつながっていくと考えています。
- 設立
- 2004年11月 ※6つの自治体が合併して誕生
- 職員数
- 約950名(正規職員500名、会計年度任用職員450名)
- 人口
- 33,911人(2021年7月現在)